髪の表面の艶出しや指通り改善に効果的な成分があります。
それが18-MEAです。
元々髪にある成分ですが、シャンプーですぐに洗い流されてしまいます。
今日は18-MEAとは何か、そしてどんな効果があるのかを説明したいと思います。
18-MEAとはどんな成分なの?
18-MEAは18-メチルエイコサン酸の略で、英語で書くと18-Methyleicosanoic Acidです。
読み方はそのまま「18エムイーエー」
キューティクルの表面には様々な脂肪酸がコーティングしているのですが、その中の主成分が18-MEA。
下の絵は髪の毛の断面図ですが、こんなイメージで、キューティクルの表面を覆っています。
18-MEAはアルカリに弱いため、アルカリ性の薬剤を使うパーマやヘアカラーで簡単に失われてしまいます。
18-MEAの効果
18-MEAの働きは、低摩擦化と髪の疎水化。
表面の摩擦が減ることで、指通りがよくなったり、髪が絡まりにくくなったりします。
疎水化というのは水の弾きやすさです。
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髪の疎水化と疎水化トリートメントの原理
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健康な髪が水を弾くというのは18-MEAのおかげなんです。
また、頭皮から出た適度な皮脂が18-MEAを伝って表面を覆うことで、自然な艶を出す効果もあります。
18-MEAの構造
ちょっと専門的な絵で表すと、健康な髪とダメージを受けた髪の違いは下のようになります。
傷んで18-MEAが無くなってしまっている部分は親水化して、髪の内側にまでダメージが進みやすくなってしまいます。
その結果、髪がパサついたり、手触りが悪くなったりするのです。
パーマでは約50%失われ、ブリーチの場合はほぼなくなるという報告がされています。
参考文献:毛髪最表面の構造と物性
この論文では、紫外線によっても18-MEAが失われることが報告されています。
500時間の紫外線照射により90%も失われてしまうそうです。
500時間は、夏3ヶ月間に受ける紫外線量に相当するとのこと。
髪の紫外線対策も必須だということですね。
18-MEA疑似成分の成分名
そんな失われやすい18-MEAですが、一度失われると元に戻すことはできません。
その代わり、自然の18-MEAに似た働きをする成分があり、それを髪に吸着させて髪質を改善させるという方法があります。
疑似18-MEAとして使われる成分にはこんなものがあります。
- クオタニウム-33
- 脂肪酸(C14-28)
- 分岐脂肪酸(C14-28)
- ラノリン脂肪酸
- セテアラミドエチルジエトニウム加水分解コメタンパク
18-MEAを配合したシャンプー
市販のシャンプーで、18-MEAを配合しているものをいくつかリストアップしました。
花王エッセンシャル(ラノリン脂肪酸)
ロンド銀座リペアシャンプー(クオタニウム-33)
ボタニストダメージケア(セテアラミドエチルジエトニウム加水分解コメタンパク)
あくまで擬似的なので、元々ある18-MEAより吸着性が弱く、すぐに剥がれてしまいます。
一度傷んで失われてしまったら、ずっと補い続けるしかありません。
もちろん、新しく生えてきた髪には18-MEAが存在します。
まとめ
髪の美しさに重要な働きをする18-MEA。
ですが色んなダメージで簡単に失われることが分かりました。
18-MEAが失われると、指通りが悪くなり、艶がなくなり、濡れた髪が乾きにくくなったりします。
失われた18-MEAは元に戻ることはないので、傷んでしまった髪は疑似18-MEAを配合したシャンプーやトリートメントで補修する必要があります。