あまり聞き馴染みのない言葉だと思いますが、髪が膨らむことを髪の膨潤といいます。
美容師さんなんかだと良く使われるのかもしれません。
髪が膨らむと聞いてもピンとこないかもしれませんが、髪は水に濡れていると膨らんでいるんです。
今回は、髪のダメージにも関係するこの「膨潤」についてご説明していきたいと思います。
髪の膨潤とは?
簡単に言うと髪が水を吸って膨らむことです。
あまり気にしてないと思いますが、お風呂で髪を濡らした状態では、水を吸って10%くらい髪が太くなっているんです!
膨潤のメカニズム
髪が水に濡れるとキューティクルが開きます。
そこから水が髪の内側に入っていきます。
さらに、髪は水に濡れると側鎖の水素結合が切れます。
側鎖というのは髪の縦の繊維同士をつないでいる結合のことです。
側鎖や結合についての詳しい内容は、コチラの記事をチェックしてみてください。
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イメージ的には、横の結合が切れると、キュっと締め付けられていた髪の毛の締め付けが緩むので、横(太さ方向)に膨らみやすくなります。
これが水に濡れたときに起こる膨潤です。
もちろん、髪を乾かすと元に戻ります。
パーマの時も膨潤する
パーマをするときに使う還元剤やアルカリ剤によっても髪が膨潤します。
先ほどの参考記事で詳しく説明していますが、横の結合には3種類あって、水素結合は水で濡れるだけで切れる弱い結合です。
残り2つにイオン結合とジスルフィド結合があります。
アルカリ剤はイオン結合を切ります(軟化)
還元剤はジスルフィド結合を切ります。
水に濡れるだけでも髪は柔らかくなりますが、還元剤とアルカリ剤でさらに結合が切れると、より柔らかく、膨潤もしやすくなります。
こうして髪の形を変えやすくしてウェーブをかけたり、逆にストレートにしたりするのです。
膨潤とダメージの関係
髪が膨潤するということは、横の結合が切れた状態ですので、髪が弱く傷んでいる状態と言えます。
そうすると、水を吸いやすく、乾きにくい状態になってしまいます。
パーマやカラーを行っても、アルカリ性になった髪を弱酸性に戻して切れた結合を再結合させますが、完全に元に戻る訳ではないので、繰り返し行っていると、どんどん髪が傷んでくるのです。
また、下手な美容師さんに当たると、膨潤させすぎて元に戻らなくなる(過膨潤)こともあります。
そうするとビビリ毛になってしまうんですね。
ハイダメージの髪にパーマをかけたりするのも過膨潤を起こしやすいので注意しましょう。
まとめ
膨潤が起こる原因は大きく2つ。
- 水に濡れる
- パーマやカラーの薬剤による
濡れた髪は乾かせば結合も元に戻りますが、パーマやカラーによる膨潤は、元に戻り切らない場合があります。
パーマやカラーの繰り返しで髪が傷むのは、これが原因のひとつになっているんですね。