シャンプーやアイロンの熱で髪が変性してしまうって聞いたことありませんか?
シャンプーによる変性は全然心配しなくていいけど、アイロンによる熱変性は要注意!
タンパク変性って何?ってところから、できるだけ分かりやすく説明していきたいと思います。
タンパク質の変性とは?
変性とは、性質が変わること。
そのままですね(^^;)
もうちょっと言うと、タンパク質の変性とは形が変わったり、固くなったりすることです。
卵を目玉焼きにすると、固くかたまって卵白の部分は白くなりますね。
これもタンパク質の変性なんです。
タンパク質は熱以外にも、界面活性剤や酸、アルカリによって変性すると言われます。
髪の場合、実際どんなシチュエーションで変性が起こるのか見ていきましょう。
シャンプーによるタンパク変性
硫酸系のシャンプーを使っていると髪のタンパク質が変性するから危険!って聞いたことがありませんか?
実は全然心配しなくていいんです!
なんでそんな話が広がったかというと、自社のシャンプーを売るために過剰に硫酸系の危険性をアピールするメーカーがあったからです。
髪が変性すると言われている根拠は、だいたい卵白にシャンプーを入れて白く濁るという実験。
でも、なんで卵白でやるの?髪の毛でやれば?と思いませんか?
そもそも、卵白のたんぱく質と髪のたんぱく質って全然違うワケ。
髪のたんぱく質(ケラチン)はすごく丈夫で、爪と同じ強度があります。
パーマをかけるにはすごく強い薬剤を使って変性させる必要があるのに、界面活性剤程度で変性するのかってことです。
変性作用はゼロじゃないけど、変性してるって分かる前にたぶん髪が生え変わってると思います。
なので、シャンプーによる変性は全然心配しなくてもいいです!
髪の熱変性
卵を目玉焼きにしたときや、お肉を焼いたときに起こる反応です。
タンパク質が固まってしまいます。
温度が高くなると結合が切れて、タンパク質同士が集まってくっついてしまうので硬くなってしまうのです。
これを凝集と言います。
雑なイメージですが、こんな感じ。
タンパク質は規則性のある立体的な構造をしているのですが、絵で描くのが難しい。
正しくありませんが、こんなイメージだと思っておいてください。
髪の場合心配しないといけないのが、ドライヤーやアイロンによる熱変性です。
髪は表面温度が100℃以上になると、変質して傷み始めます。
髪の中のタンパク質や脂質が変質して、空洞(ダメージホール)ができてしまいます。
そうすると、次のシャンプーのときに、髪内部の成分が流れ出やすくなり、さらにダメージホールが増えてしまいます。
アイロンの温度に注意
髪は130℃以上になると危険なので、アイロンは130℃以下で使った方がいいようです。
プロの美容師はもっと高い温度でやるけど、数秒でさっとやるので内部まで温度上昇せず、そこまで傷まないのでしょう。
実は、髪は濡れているともっと早い温度で変性が始まります。
なんとなく水分含んでいる方が熱に対して強そうなイメージがありましたが、逆なんです。
濡れていると、60℃くらいでも危ないと言われているので、ドライヤーで乾かすときは要注意。
20cmくらい離して当てた方がいいと言われているのは、離すことで髪に当たる風の温度が下がるからですね。
風量があるドライヤーはおすすめです。
風で水分を吹き飛ばしてくれるのと、周りの空気を巻き込むからそんなに風の温度が上がらないんです。
僕はモンスターというドライヤーを使っていますが、めちゃくちゃ風量があって温度も上がらないのでおすすめです。
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髪のアルカリ変性
パーマの薬剤による変性です。
パーマは髪の変性を利用して髪型を変えています。
S-S結合を切って繋ぎ変えることで、元の状態とは違った性質に変えているんです。
他にも、縮毛矯正やブリーチなどで強いアルカリ性の薬剤を使うと、ラオチニン結合という元に戻らない結合ができてしまいます。
髪全体がそうなるわけではありませんが、一部が変性してしまいます。
縮毛矯正はこれをつかって半永久的に髪をまっすぐにしています。
でも元に戻らないので、ラオチニン結合がたくさんできているとパーマがかかりにくくなるんです。
変性した髪を戻すことはできるか
焼いたお肉が元に戻らないのと同じで、変性してしまった髪は元には戻りません。
ですが、変性して硬くなってしまった髪をできるだけ柔らかくすることはできます。
変質してしまった脂質(CMC)の代わりに疑似的にCMCを補うことで柔らかさが出るようになります。
CMCはキューティクル同士やキューティクルとコルテックスの間にある脂質で、動きになめらかさを出す働きもしています。
詳しくはこちらの記事を参考にしてみてください。
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CMCという成分をご存知でしょうか? 元々髪にある成分で、髪のしなやかさに必要不可欠な成分です。 ですが、CMCはちょっとしたダメージですぐに失われてしまい、これが髪のダメージの原因になってしまいます ...
まとめ
髪の変性で注意しないといけないのはドライヤーやアイロンによる熱変性。
特に濡れている髪の方が危険なので注意しましょう。
濡れた状態でのアイロンは危険ってことです。
シャンプーによる髪の変性はそれほど心配しなくていいと思います。
気にしすぎて超低刺激なシャンプーを使っていて、汚れが落とし切れない方が髪や頭皮に悪影響を与える可能性もあります。
日本国内にはそんな危険なものは売られていないはずなので、過剰な危険性の煽りには騙されないようにしましょう。