シャンプーに含まれる成分で、水の次に多い成分が界面活性剤です。
界面活性剤は髪や頭皮の汚れを落とす成分であり、シャンプーの主成分になっています。
シャンプーによっても異なりますが、だいたい全体の30%の割合を占めます。
汚れを落とすためには絶対に必要な成分で、界面活性剤不使用のシャンプーはありません。
今回は、シャンプーの特徴を大きく左右する界面活性剤について説明していきたいと思います。
界面活性剤とは
界面活性剤とは、ざっくり言うと洗剤のことです。
シャンプーの場合、髪にくっついた汚れを落とす働きをします。
髪と汚れの境目を界面といいます。
界面でくっついている力を弱くして、汚れを髪から剥がすというメカニズムです。
石鹸も界面活性剤です。
抜けなくなった指輪を石鹸をつかって抜いたことはありませんか?
あれは石鹸のヌルヌルで指と指輪の界面のくっつく力(摩擦力)を弱くして抜けやすくしているのです。
もう少し詳しいメカニズムを説明しましょう。
界面活性剤の分子は、下の絵のように親水基と親油基からできています。
親水基というのは水と馴染みやすい部分で、親油基というのは油(汚れ)と馴染みやすい部分です。
髪を濡らしてシャンプーを馴染ませると、界面活性剤の親油基の部分が汚れにくっつきます。
そして親水基の部分が水とくっつきます。
界面活性剤に囲まれた汚れは、外側が水と馴染みやすい親水基になっているので、水に引き寄せられて髪から汚れが引きはがされます。
これが界面活性剤による洗浄のメカニズムです。
界面活性剤の種類
界面活性剤は大きく分けると4種類あります。
ここからさらに細かく分類されます。
アニオン界面活性剤
シャンプーに使われる界面活性剤で、メインで使われる界面活性剤です。
沢山の種類があるので、洗浄力、刺激が強い順に並べてみました。
高級アルコール系
洗浄力、刺激共に強く、泡立ちも良い。
安いシャンプーに良く使われているが、アミノ酸系がもてはやされているので、最近は徐々に減ってきている。
表示名は、
など。
硫酸と名前に入っているので硫酸系とも呼ばれているんです。
ネット上ではこういった成分が入っているシャンプーを完全に悪者にしていますが、そうでもありません。
他の洗浄成分との組み合わせでちょうどいい洗浄力になっているものもあります。
アルカリ石鹸系
石鹸系にも2つあり、アルカリ石鹸と酸性石鹸があります。
なんとなく石鹸って天然素材っぽいので安全なイメージがありますが、アルカリ石鹸の洗浄力は高級アルコール系と同等かそれ以上!
しかもアルカリ性というのが問題で、キューティクルを開かしてしまうのでダメージの原因になります。
さらにさらに、水道水に含まれるカリウムと結合して石鹸カスが作れら、これが髪に付着して硬くてゴワゴワした髪質になってしまいます。
というわけで、アルカリ性石鹸系のシャンプーはりょうたろう的におすすめできません。
成分表示名は、オレイン酸Na、ヤシカリ石鹸など。
マークスアンドウェブハーバルクリアシャンプーではカリ石ケン素地が使われています。
オレフィンスルホン酸
表示名はオレフィン(C14-16)スルホン酸Na
高級アルコール系がディスられるようになってから代わりに使われるようになった印象がある成分。
でも洗浄力は高く泡立ちもいいです。
刺激は高級アルコール系やアルカリ石鹸よりは弱め。
スルホコハク酸
これまで紹介した成分よりは洗浄力、泡立ち共に少し弱くなり、刺激もやや弱め。
泡がキメ細かい。
成分表示はスルホコハク酸(C12-14)パレス-2Na
BIOLISSは、この成分が洗浄成分のメインです。
アマイドエーテルサルフェート
表示名は、PEG-3ヤシ脂肪酸アミドMEA硫酸Na
硫酸という文字が入っていますが、硫酸系ではありません。
泡立ちも洗浄力もそこそこあり、高級アルコール系に比べれば低刺激です。
無印良品クリアケアシャンプーに使われています。
酸性石鹸
髪は弱酸性の方が良い状態なので、アルカリ石鹸に比べると髪には良い洗浄成分です。
刺激もアルカリ石鹸に比べれば低刺激。
- ラウレス-4カルボン酸Na
- ラウレス-3酢酸Na
など。
ボタニストボタニカルスカルプシャンプーなどに使われています。
アミノ酸系
低刺激シャンプーの代表格のアミノ酸系洗浄成分です。
アミノ酸は髪とのなじみが良く、しっとり仕上がる傾向があります。
洗浄力が弱く、泡立ちもよくありません。
巷ではアミノ酸系シャンプーはいいシャンプーだという雰囲気がありますが、そんなことはありません。
洗浄力が弱すぎて、汚れや皮脂を落とし切れなくてベタつきやすいというデメリットもあるんです。
成分表示は、
- ココイルグルタミン酸Na
- ココイルアラニンNa
- ココイルメチルタウリンNa
など。
PPT系
コラーゲンなどのポリペプチド(PPT)を元に作られている洗浄成分。
髪の補修効果がある。
洗浄力は弱く、泡立ちも良くないが低刺激。
他の洗浄成分と合わせて補助的に使われています。
成分表示は、ココイル加水分解コラーゲンNa、ラウロイル加水分解シルクNaなど。
ディープレイヤーやオブコスメティクスなどで使われていました。
カチオン界面活性剤
プラスの電荷を持っていて、髪に吸着しやすい特徴があります。
そのため、コンディショニング効果を持たせるために使われます。
髪には良いのですが、刺激が強い成分です。
トリートメントやコンディショナーを頭皮には付けないようにするのはこのためです。
成分表示は、
- ベヘントリモニウムクロリド
- セトリモニウムブロミド
- ステアルトリモニウムクロリド
- ステアリルトリモニウムブロミド
- ベヘントリモニウムメトサルフェート
などです。
多くのシャンプーに使われています。
ノニオン界面活性剤
電荷を持たない界面活性剤です。
英語で書くと「Non-Ion」ということです。
低刺激で、増粘剤や乳化剤として使われます。
表示名は、
- コカミドメチルMEA
- コカミドDEA
- デシルグルコシド
などです。
両面界面活性剤
プラスとマイナスの両方のイオンを持っています。
低刺激な洗浄成分です。
- コカミドプロピルベタイン
- ココアンホ酢酸Na
などの「ベタイン系」洗浄成分や、ラウリミノジプロピオン酸Naなどのアミノ酸系の洗浄成分があります。
コカミドプロピルベタインは補助成分として多くのシャンプーに使われています。
アニオン、カチオン、ノニオン、両面界面活性剤の違い
アニオン、カチオン、ノニオン、両面界面活性剤の違いをまとめると以下のようになります。
界面活性剤 | アニオン | カチオン | ノニオン | 両面 |
---|---|---|---|---|
用途、特徴 | シャンプーのメインの洗浄成分 | 帯電防止、指通り改善など | 泡立ちアップの補助、 | 刺激の緩和 |
刺激 | 種類により異なる | 強い | 弱い | 弱い |
泡立ちがいいもの、悪いもの
界面活性剤は泡立ちにも影響します。
洗浄力が強いほど泡立ちが良い傾向にあります。
高級アルコール系のシャンプーはやっぱり泡立ちが良くてしっかり汚れが落ちます。
逆に低刺激なアミノ酸系シャンプーは泡立ちが良くないものが多いですよね。
泡立たなくても低刺激なんだからいいのかというと、そうでもありません。
泡立ちが悪いと髪全体に広がりにくいですし、髪との摩擦が起こります。
摩擦によってキューティクルがダメージを受けたり、引っかかって切れ毛の原因になったりします。
アミノ酸系だから全てが泡立ちが悪いというわけではなく、低刺激でも泡立つシャンプーもあります。
水と界面活性剤とのバランスや、その他の添加剤との関係で泡立ちやすさが変わってきたりするようです。
この辺はシャンプーメーカーが色々ノウハウを持っているんだと思います。
界面活性剤の悪い影響
界面活性剤は汚れを落とすためには絶対に必要なものですが、どうしても髪にダメージを与えてしまいます。
髪の表面はキューティクルによって守られていて、キューティクルはCMCと呼ばれる脂によって髪の内側にくっつけられています。
CMCとは?髪のダメージ補修や髪質改善の重要成分です
CMCという成分をご存知でしょうか? 元々髪にある成分で、髪のしなやかさに必要不可欠な成分です。 ですが、CMCはちょっとしたダメージですぐに失われてしまい、これが髪のダメージの原因になってしまいます ...
界面活性剤によって、このCMCも汚れと一緒に洗い流されてしまいます。
そうすると、キュティクルがはがれてきて指通りが悪くなります。
さらに、キューティクルが剥がれると髪の内側から水分やタンパク質が流れ出やすくなり、パサつきやすくなります。