傷んだ髪ってキューティクル表面の18-MEAが失われてしまっています。
そうすると、コンディショニング成分が髪の表面にくっつきにくくなってしまいます。
そこで注目されているのが没食子酸。
「もっしょくしさん」とか「ぼっしょくしさん」と読むそうです。
ジュレームリラックスなんかで使われていて、成分一覧に「ジグルコシル没食子酸」とあります。
これいより、ダメージヘアでもコンディショニング成分の吸着力がアップして指通りが改善するそうです。
だいぶマニアックな話なので、自分用のメモ感覚でまとめてみました。
傷んだ髪の表面状態
キューティクルの一番外側の表面はF-Layerと呼ばれていて、18-MEAと呼ばれる脂質が存在します。
18-MEAがあることで、髪は自然なツヤが出て、指通りも良くなります。
傷んだ髪では、この18-MEAが失われてしまっています。
一度失われてしまうと、元に戻ることはないので、ずっと指通りが悪いままになってしまいます。
18-MEAとはどんな成分?その効果を解説
髪の表面の艶出しや指通り改善に効果的な成分があります。 それが18-MEAです。 元々髪にある成分ですが、シャンプーですぐに洗い流されてしまいます。 今日は18-MEAとは何か、そしてどんな効果がある ...
そこで、シリコンや他のポリマーなどでコーティングして、指通りを改善するわけですが、18-MEAがないとなかなかくっつきません。
僕も実感としてあるのですが、髪が傷んでいるときはコンディショナーを多めに付けてもなかなか指通りが改善しなかったのに、ヘアケアをちゃんとするようになってからは、少しのコンディショナーでも髪がツルツルになりました。
ちょっと難しい話をすると、傷んだ髪は、アミド基(-CONH2)やスルホン基(-SO3H)などの親水基が増加するので、水の接触角が低下し親水性になっています。
油分がくっつきにくい状態ということです。
ということは、シリコン(シリコーンオイル)も傷んだ髪には効果が出にくいということです。
没食子酸でコーティング力アップ
傷んだ髪を補修する方法として、カチオン化ポリマーというものが使われます。
カチオン化とは、プラスに帯電させることなので、マイナスの電荷を持つスルホン基に吸着しやすい性質が得られます。
しかし、アミド基は非イオン性なので、カチオン化しても効果が得られません。
カチオン界面活性剤とは?リンスやトリートメントに使われてます
前回はアニオン界面活性剤についてご説明しましたが、今回は逆の電荷を持つカチオン界面活性剤についてご説明します。 カチオン界面活性剤は、髪のコンディショニング作用があり、シャンプーにも使われますが、リン ...
そこで注目されたのが没食子酸です。
ジグルコシル没食子酸は、親水基のヒドロキシ基(-OH)とカルボキシル基(-COOH)を持っています。
ヒドロキシ基が傷んで親水化した部分とくっつき、さらにカルボキシル基がカチオンを吸着させます。
つまり、ジグルコシル没食子酸は、カチオンがくっつかない部分の間に入る橋渡しの役割をしているということです。
まとめ
傷んで親水化してしまった髪ほど、疑似的なキューティクルを付けて疎水化し、指通りの改善と、これ以上傷むのを防ぐことが大切です。
ですが、傷んだ髪ほどコーティング成分がくっつきにくくなります。
髪が傷んでいて、なかなかコンディショナーやトリートメントの効果が感じられない場合は、ジグルコシル没食子酸を配合したものを選んでみると、効果が感じられるかもしれません。
◇参考論文
「美しく健やかに」毛髪と地肌を洗浄する技術