ここ数日、シャンプーのレビューができていないのは、髪にポリマー成分がビルドアップしたっぽくて、シャンプーの使用感が分からなくなっていたためです。
ビルドアップとは、髪にコーティング成分(皮膜)がどんどん積み重なって蓄積してしまうことです。
シリコンがビルドアップするので良くないと言われているのですが、実はノンシリコンシャンプーでも別の皮膜がビルドアップするんです。
「シリコンが悪いからノンシリコンシャンプーしか使わない!」なんて人も少なくないと思いますが、シリコンの代わりに同じようなものが使われているんです。
しかも、場合によってはシリコンより悪いかも・・・・
なぜノンシリコンでもビルドアップするの?
ノンシリコンが出始めたころは、よくきしむと言われていましたが、最近のノンシリコンシャンプーがきしむことはほとんどないと思います。
それは、シリコンの代わりにカチオン化ポリマーが使われ出したからです。
成分一覧を見てみると、
- ポリクオタニウム―7
- ポリクオタニウム―10
などといった成分がほぼ入っているでしょう。
これがカチオン化ポリマーです。
特に良く使われるポリクオタニウム―10はカチオン化セルロース(カチセロ)と呼ばれています。
カチオン化とは、プラスの電荷を持たせることです。
髪の毛は濡れるとマイナスの電荷を持つので、プラスの電荷を持ったものとくっつきやすくなります。
※下の絵のブドウ糖というのがセルロースです。
そうやって、髪にポリマーがどんどんくっついていくことで、ビルドアップしてしまうのです。
◆参考記事
シリコンの代わり使われる成分
ノンシリコンなんて意味ないよという話
カチオン界面活性剤とは?
シリコンとの違い
シリコンは、プラスもマイナスの電荷も持っていません。
どうやって髪にくっついているかというと、髪の表面の油分となじんでくっついているだけなんです。
シリコンといっても固まりが入っているわけではなく、シリコーンオイルというオイルの状態になっているので、他の油分となじみやすいんですね。
なので、シリコンはカチオン化ポリマーと違って電気的にくっついているわけではありません。
つまり、カチオン化ポリマーの方が髪への吸着力は強いということになります。
しかも、頭皮への吸着力も強いと言われているので、地肌トラブルの原因になる可能性も指摘されています。
ビルドアップするとどうなる?
シリコンのビルドアップが嫌がっていたのは、美容師さんが多いと思います。
シリコンがビルドアップすることで、カラーやパーマの薬剤が髪に浸透しにくくなって、掛かりが悪くなるそうです。
カチオン化ポリマーのビルドアップもおそらく同じでしょう。
自分で感じたビルドアップの影響としては、
- 髪の動きが悪くなる
- 硬くなる
- ハリコシが出る
- ごわつく
といった感じです。
まさに、髪の表面が硬いもので覆われて、パリパリになった感じがします。
ハリコシが出るのですが、内部補修で髪がしっかりした感じとは全く違い、しなやかさがありません。
なので、手触りもゴワゴワした感じで良くありません。
皮膜を除去するには?
シリコン除去用のシャンプーというのは良く聞くのですが、カチオン化ポリマー除去用のシャンプーって、調べたけど見つかりませんでした。
とは言え、シリコンのビルドアップも専用の除去シャンプーでなくても、洗浄力の強いシャンプーで落とせるので、同じように洗浄力の高いシャンプーを使ってみました。
一日目
まず、手持ちで一番洗浄力が強そうな、パンテーンミセラーを使ってみました。
-
-
パンテーンミセラー ピュア&クレンズのレビュー
地肌をしっかり洗う、クレンズ発想のパンテーンミセラー。 今回は、青のパッケージのピュア&クレンズを使ってみました。 しっかり洗うことを目的にしているので、洗浄成分がかなり強力! 最近では珍しいラウリル ...
ラウリル硫酸Na+ラウレス硫酸Naなので、かなり洗浄力は強力なはず!
結果、少し柔らかくなったけど、まだコーティングが残っている感じがします。
二日目
今度は、クレンジングシャンプーのメリットピュアンを使ってみました。
-
-
メリットピュアン クレンズケアシャンプーのレビュー
メリットピュアン(PYUAN)クレンズケアシャンプーを使ってみました。 地肌のベタつきをしっかり落とすためのシャンプーです。 実際使ってみて、使い心地やどんな効果があったかなど、感想を書いていきたいと ...
ラウレス硫酸アンモニウムがメインの洗浄成分なので、こちらも洗浄力は強力です。
結果、髪が柔らかくなって、ビルドアップはなくなりました。
ビルドアップした皮膜を除去するには、洗浄力の強いシャンプーで2,3回洗わないといけないということですね。
もちろん、メリットピュアンにもポリクオタニウム―10が使われているので、ある程度の皮膜は付いていると思いますが、過剰な皮膜はなくなったということです。
まとめ
今やほとんどのシャンプーがノンシリコンなので、意識しなくてもノンシリコンシャンプーを使っていると思います。
ですが、シリコンよりもっと強力な皮膜が使われていることをご存じの方は少ないのではないでしょうか?
もちろん、カチオン化ポリマーにもいいところがあって、シリコンに比べれば傷んだ部分により吸着しやすいので、ダメージヘアの保護という面ではメリットがあります。
逆に刺激が強いなど、シリコンより安全面では劣っています。
シリコンって危険じゃないのに、どこかのメーカーのイメージ戦略で悪者にされてしまったんですね。
でも、もはやカチオン化ポリマーなしのシャンプーを探す方が大変な状態。
ノンカチオンと言っている「レヴールゼロ」もシャンプーはポリクオタニウム―10使ってますしね。
(ちなみに、ノンシリコンを広めたのはこのメーカーだと言われています)
みんながシリコンが安全なことに気づきだしたら、またヘアケアメーカーの対応も変わってくるんじゃないかな。
僕は正しい情報をできるだけ発信して、みんなのヘアケアの知識をアップデートしていけたらなと思っています。